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遠藤の苦悩 |
10(完) |
さんざん充の体を堪能して、そろそろ準備をしなければと起き上った。 結局リビングであれやこれやと弄くり回された哀れなウサギは、弛緩した体をヒクヒクと痙攣させながら横たわっている。 そっと頭を撫でて、もう一度キスをしてから立ち上がった。 ベッドルームに行って、掛けてある真新しいユニフォームに袖を通す。 懐かしい感触が体を包んだ。 少しくすぐったい気分でリビングに戻ると、遠藤の姿を充が呆然と見上げた。 その眼がみるみる妖しく潤んでくる。 ……やばい 遠藤のユニフォーム姿に欲情しているその様子を見て、自分の股間もまた反応してしまった。 すばやく時間の計算をする。 家から駅まで歩いて、電車で川一つ越えた河川敷が今日の試合グラウンドだ。歩きの時間を考えるとあと二十分程しかない。家からタクシーを使えばどうだろう。プラス三十分は稼げるはずだ。 よし、と頷いて充の方へ手を伸ばす。 あとはこの人をどうやってごねさせずに最後まで持っていくかどうかだ。 いつもは時間をかける過程が楽しいのだが、今はとにかく急ぎたい。 「……ないから……」 「ん?」 充が伸ばした手に縋りついてきた。 「汚さないように……気をつけるから……遠藤君……お願いだ……そのまま……」 「充……」 願ってもない申し出に掴んだ腕をそのまま引いて、ベッドルームへと引きずりこむ。 いつになく積極的な恋人を嬉しく迎えながら、瑣末な心配事に気をそがれないようにやさしく囁いて、すでに熱くなった体をベッドに沈めていった。 「大丈夫ですよ。替えがちゃんとありますから……」 |
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