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彼シャツ〜明るいほうへ番外編〜


 シャツの上から背中を撫で、腰を掴み、その手が尻に下がっていく。
「……ちょっと」
 咎めるような声を出したら、俺の腹に顔をくっつけたままの遠藤くんが見上げてきた。
「……キス」
 またおねだりされて、「もう」と笑いながら、素直に身体を倒して遠藤くんにキスをする。
 ちゅ、と軽い音を立てて顔を離すと、遠藤くんは俺を見上げたまま「もっと」とまたねだってきた。
 両手で遠藤くんの頬を挟み、顔を倒してもう一度被さる。
 今度は深く、長いキスをした。
 俺のキスを受けながら、遠藤くんの腕が動き回る。尻を揉み、背中を撫で、前に回した掌で、シャツの上から前を擦られる。
「……ぅ……ん」
 唇を離さないまま、鼻から抜けるような溜息を吐く。俺の声に煽られるようにまた掌が動き、ゆっくりと上下してくる。その動きにまた息が漏れ、その度に遠藤くんがまた動く。
 どっちが誘っているのか、煽っているのか。多分両方だ。
「あ……ふ、ぁん」
 舌を奥深くまで侵入させ、そうしながら意識は遠藤くんの掌に集中している。布の上からの刺激に、俺の欲望は容易に育ち、手の中で形造られていく。
「ぁ……ん、遠藤くん……」
 布越しの刺激がもどかしくて、遠藤くんの名前を呼びながら、今度は俺がおねだりする。
「シャツが邪魔?」
 俺の顔を見ながら遠藤くんが聞き、俺は答えの代わりに腰を揺らした。
「……自分で上げて、シャツ」
「……あ」
 ほら、と促されて、両手でそろそろとシャツの裾を上げていった。
 ソファに座っている遠藤くんの前に立ったまま、自らシャツを掴み、たくし上げて愛撫をねだる。
 そんな俺を見つめている遠藤くんは歯を見せて笑い、それから視線を下に移した。
「ん……ふ……」
 下着の中のモノは完全に勃ち上がり、すでに先端が濡れ、染みが浮き上がっている。遠藤くんの指先がそこに触れると、声と一緒にピクンと震えた。
 濡れた染みを広げるように指先がクリクリとそこを撫でる。
「ぁ……ん」
 彼の指に付いていくように俺の腰が揺らめき、ますます染みが広がっていく。
「……もっとして欲しい?」
 意地悪な質問に目を眇めて吐息で応えた。
「直接触って欲しい?」
「ん……ぅん」
 意地悪な質問に、言葉にならない声で返事をする俺に、遠藤くんは笑って、下着をずらした。
「や……、遠藤くん……」
 ずらされた下着はほんの少し下りただけで止まってしまう。尻の半分と、それから……俺のはしたなく濡れた先端だけが下着から零れ、遠藤くんの目の前に晒されている。
「可愛い……」
 恥ずかしがっている俺を宥めるように遠藤くんが言い、顔だけ出しているそこにそっと指で触れてきた。
「あ……ん」
 親指と人差し指で挟み、出ている部分をクチュクチュと上下され、恥ずかしさと気持ち良さともどかしさに翻弄されながら、腰が揺らめいた。



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