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ふたりの休日〜明るいほうへ番外編〜


「駄目。ちゃんと見てなくちゃ」
「ぃやだ……あ、あ」
「じゃあ止めちゃうよ」
 半分引いた辺りで遠藤くんがピタリと動きを止め、俺が目を開けるまで動かない。
「えん……ど……ぅく……」
「目、開けて」
「ぅ……ぁ」
 快楽に抗い難くて、言われる通りにもう一度テレビに目をやる。
 止まっていた遠藤くんがまた動き始める。突き上げるようにして入り込み、細かく震わせながら中を掻き回された。
「あぁあああっ」
 敏感な場所を擦られて自ら腰を揺らして刺激をもらう。腰が更に高く上がり、もう写されているのも関係なくなり、夢中になって快感を貪る。
「あっ、あっ……」
 片手で俺の腰を掴んでいた指に力が籠もり、いっそう強く穿たれる。はあ、はぁ、という荒い息づかいが上から聞こえた。
「……イク、……イクよ……充」
 切なげな声を上げて遠藤くんが駆け上がろうとしている。置いていかれまいと、俺も波に身を委ねた。
「……ぁ、あ……は……っ、ぁあ、ああ……っっ」
 先に辿り着いたのは俺だった。大きく背中を反らし、揺れながら飛沫を撒き散らす。
「……くっ」
 二度三度と突き上げ、深くまで押し込んだそこで遠藤くんが止まった。
「ぁ……ぁあ……」
 溜息のような呻き声を漏らし、それが突然出ていく。
「はっ……あ……」
 背中に温かい感触が掛かり、画面に映っている俺の背中が濡れていった。
 ゴトリ、とビデオを置く気配がして、遠藤くんの身体が下りてきた。抱き込まれ、こめかみにキスを受ける。
「……ん」
 四つん這いのまま首を回して唇にもキスをもらう。
「……あー、最高」
 遠藤くんが満足げに呟いた。
「保存版だ」
「……ちょっと。すぐ消すって言ったよね?」
「えー、勿体ないですって」
「嫌だよ。消してっ!」
「じゃ、じゃあ、一週間。そしたら消すから」
「駄目」
「三日。お願い」
 可愛くねだられてもこれだけは聞き入れられない。
「ねえ」
「約束だろ」
「……充、俺のシャワーシーンとか撮りたくない?」
「う……」
 それはずるいよ遠藤くん。そんなの撮りたいに決まっているじゃないか。
「脱ぐところから。どう?」
「……ユニフォーム?」
 にっこりと笑う遠藤くん。
「じゃあ……三日間だけ」
「充の好きなように撮っていいんだけどなあ。三日かあ」
「うぅ……」
 頭の中でいろんなポーズをとる遠藤くんが回っている。
 本当にこの人は、俺の弱みにつけ込んでくる。普段あんなに爽やかなのに、そのギャップに俺は翻弄されっぱなしだ。
「遠藤くんの卑怯者。スケベ」
 非難を込めてそう言ったら「え? 俺ですか?」と心外だというような声を出したので、何を言っているんだ、当たり前だろうと抗議した。遠藤くんのお陰でこんなに恥ずかしいことになっているのに。
 俺の抗議に遠藤くんが心底不服そうに「俺? 俺だけ?」って言っている。
 そんなことより早く風呂場に行って、まずはシャワーシーンを撮影したい俺だった。



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