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ふたりの休日〜明るいほうへ番外編〜


「……ん……ん」
 クチャ、クチャと水音がして、俺の声が聞こえる。遠藤くんにキスができないから自分の指を咥え、舌を絡めながら、恍惚としている自分の顔を眺めている。
 なんていやらしい顔をしているんだろう。
 画面に見入る自分の横顔と、その上には揺れる膝頭が見える。胸の上まで折りたたまれ、上げられた足の間には遠藤くんの指が入り込んでいる。ビデオを持ったまま、遠藤くんが準備を施している。無言で写している遠藤くんの口からも、ときどき溜息が漏れていた。
 画面から目を離し、遠藤くんを見つめる。真剣にモニターを眺めている顔は、俺と同じに興奮で潤んでいる。モニターの俺と目が合った遠藤くんが直接俺を見つめてきて、笑った。
「下、写したい。駄目?」
「駄目……」
 それだけは勘弁してくれとお願いした。そりゃ、遠藤くんのだったら喜んでというか、かぶりつきで撮影に参加したい俺だけど、自分をとなると、興奮どころか恥ずかしさで萎えてしまいそうだ。
 遠藤くんは残念そうだったが、じゃあバストアップだけ、と折衷案を出してきた。いつもながら彼は俺を操縦するのが上手い。
 ビデオを片手にそれでも丁寧に俺の中を解していく。回しながら、ときどき敏感な場所を掠め、その度に声を上げて喜ぶ自分を、隣の画面で見せつけられていた。
「……ぁ、ん……あ、ぁ……」
 水音が激しくなり、声も大きくなる。口に当てていた指はいつの間にか離れ、掴むものを探して床を彷徨っていた。
「……もう、入れたい。いい?」
 俺のそんな様子を見て、遠藤くんが聞いてきた。
「うん。俺も」
 指が抜かれ、俯せにと言われた。
「後ろ……から?」
「だって、充、普段見れないだろ? こういう態勢」
 俺に見せてやろうというあくまでサービス精神だ。
 言われるまま、素直に俯せになり膝を立てた。受け入れる態勢を作る俺の尻を撫で、遠藤くんが後ろに回った。
「……行くよ」
「うん……っ、……ぁ」
 幾度となく受け入れてきた狭間に遠藤くんが入ってくる。目を瞑ってそれを迎え入れ、胸を沈ませ、腰を高く上げる。
「……あ、あ、……」
 ゆっくりと侵入し、少しずつ奥へと進んでくる。すんなりと受け入れ、俺の中が柔らかく遠藤くんを包んでいく。入り込んでは引き、それが少しずつ早さを増していく。快感に崩れそうな体を肘で支え、目を瞑ったまま遠藤くんを感じていた。
「充……見て」
 声に促され、薄く目を開けた。横にある画面に俺の背中が映っている。遠藤くんの動きに合わせて後頭部が揺れている。
「あ、あ……、ぁあ」
 水音と肌のぶつかる音がして、その度に背中が動く。うなじ、背骨を辿ったカメラが……繋がっている場所に辿り着いた。
「……や、ぁ……っ、ぁ」
 遠藤くんによって広げられた窄まりが映し出されていく。
「ほら……よく見て」
「ぃ、や……ぁ、んっ、ぁんっ」
 ズ、と引き抜かれ、それが今度は奥まで押し込まれる。
「可愛いだろ……?」
 穿たれながら首を横に振る。全然可愛くない。こんな恥ずかしいことになっているなんて知らなかった。
「可愛いんだって……すげぇ、可愛い」
「ぁ、ぁ……ふぅ……ぁ、ん、は……っあ」
 ズリュ、ズリュ、と音がする。遠藤くんの赤黒い雄が俺を押し広げ、犯されていく。出ていこうとするのを追いかけるように襞が捲れ、吸い付いていく。
「やぁ……ぁあ」
 顎を上げ、目を瞑ったら激しく動かされた。



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