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ふたりの休日〜明るいほうへ番外編〜 |
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「うわ……すげえ興奮する」 上からカメラのモニターを覗き、俺の顔が横のテレビに映っている。右手でビデオを持ち、左手がTシャツの裾から潜り込んできた。 「あ」 肘で押し上げるようにシャツが捲られていく。 「充、自分で上げてみて」 「嫌だよ。恥ずかしい」 「だって左手しか使えない」 跨っていた身体を少しだけ浮かし、床に付いている背中を上げろと言ってくる。 「ね」 ビデオカメラの窓を覗きながら遠藤くんが笑っている。そんな「ね」とか可愛く言われても……やだちょっと、逆らえないじゃないか。 「充……ほら」 この声に弱い。甘えるようなやさしい声で、絶対の命令を下してくるのだ。 「……あ」 遠藤くんを見上げたまま、Tシャツの裾を上げていく。 「そうそう。いい感じ」 胸の下スレスレまで上げ、そこで躊躇していると、一緒に這ってきた左手で無理矢理押し上げられた。 「や……」 思わず横を向く。画面に自分が映っていた。 シャツの裾を自ら上げ、遠藤くんの大きな掌に触られている。 「……は……ぁ」 声を出すと背中が浮き、それを宥めるように掌がさわさわと蠢く。つぅ、と人差し指が先端に触れ、引っ掻くように指先が動いた。 「あ、ぁ……あ」 ほんの少し触れただけで尖っていく様子も、掌の動きに合わせて浮き上がる身体も、その刺激に喘いでいる自分の横顔も、すべて映っている。見たことのない自分の痴態に羞恥と同時に得体の知れない昂ぶりがやってきた。 「充……もしかしてこういうの好き?」 「好きじゃ……ない。好きじゃない……」 首を振って否定をしているが、画面の俺は嘘を吐いているのが丸分りで、遠藤くんの手が動く度に素直な反応を見せている。 遠藤くんの腕がTシャツを持っている俺の手を掴み、胸の上に誘導する。指先を自分の乳首に宛てられ、促すように撫でてきた。彼の太い指に合わせ、自分で触る。 「ぁ……ん」 画面の俺も声を出した。 テレビから視線を移し、俺の上にいる遠藤くんを見つめる。液晶モニターを眺めている表情はうっすらと笑っていて、そのくせ真剣に見入っている。その顔を見つめながら、今度は自ら指を動かす。掴まれていない方の腕も胸の上に置き、そっと撫でていった。 尖っていく先端を、更に育てるように指の腹で刺激する。遠藤くんの手が離れ、撮影に専念し始めた。 どうしよう。止まらない。 「……あ」 片方の手で胸を可愛がり、もう片方が下りていき、腹の上で旋回する。もっと下に行きたくて、だけどやっぱり恥ずかしい。 「……我慢できない?」 更なる刺激を欲しがる俺に、遠藤くんが意地悪く聞いてきた。 「どうする? 全部映っちゃうよ」 言葉で俺を煽ってくる。再びテレビ画面に目をやると、息を弾ませて自ら愛撫を下そうとしている浅ましい俺の姿が映っていた。 「そのまま……見てて」 遠藤くんの声がして、俺の顔と胸を映していた画面がゆっくりと下りていく。下半身が映し出され、その中心に遠藤くんの指が触れた。 「ぁあ……は……っ」 押し付けるように浮き上がった腰が揺れた。スウェットの上からでもはっきりと分かる俺の形をなぞるように遠藤くんの指が滑る。指の背で撫で上げ、緩く握られる。遠藤くんの手の中で、固く育っていく様を見せつけられた。 「……あぁあ、ぁあ、……ぁ」 手が上下される度に声が漏れる。 「もうこんなになってるよ……?」 どこかの監督のように遠藤くんが含み笑いをしながら言う。 「や……だ……」 「そう?」 声と動きが裏腹なのがしっかりと映し出されていた。 「やらしくて……可愛いね」 遠藤くんが俺を褒め、スウェットを脱がせてきた。 「……するの?」 全部写そうというんだろうか。それはいくらなんでも……と戸惑いの声を上げたら、ビデオから顔を外した遠藤くんが、身体を倒し、キスをしてきた。 「……ん」 宥めるように唇を吸われ、もう一度起き上がる。 「あとで消すから……ね?」 また可愛くおねだりをしてくる。 「恥ずかしいよ……」 「じゃあ、目を瞑ってたら?」 「よけい恥ずかしいよ」 そんなことを言いながら、スウェットを下ろしてくる手に協力して腰を浮かしているんだから、結局俺ってば……。 |
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