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LOVE LOVE LOVE |
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そろそろかな、と思っているところでドアの鍵が回る音がした。帰省していた同居人を迎えるために、いそいそと玄関に向かう。 正月はお互いの実家で過ごすことになり、ふたりで暮らすこのアパートに戻ってきたのは一週間振りだ。メールや電話で毎日話したし、大晦日の夜は一緒に俺の近所の神社まで初詣に行ったけど、やっぱり帰ってきてまたここで一緒にいられるのが嬉しい。 俺もそうだったけど、うさちゃんもどうせお袋さんに大量のお土産を持たされてきただろうから、その荷物を受け取ろうと、ドアが開くのを待っていた。 「おかえり」 開いた途端にそういう俺に、うさちゃんがほんわりと笑って「ただいま」と言った。 「やっぱり。いっぱいだなあ」 思ったとおり、うさちゃんは両手に紙袋を持って、おまけにリュックまで背負っている。 「うん。あれもこれもって持たされてさ」 「だろうな」 荷物を受け取りながら、新年の挨拶代わりにキスでもしたいところだけど……。 「あけましてっ、おめでとうございます!」 ……うさちゃんの後ろにいる人の声があるために、それを断念せざるを得なかった。 「ああ。おめでとう」 「今年もよろしく! お邪魔しまっす」 竹内がドカドカと部屋の中に入ってきた。竹内も紙袋を持っていたが、うさちゃんが持っているものに比べると、明らかに軽そうだ。それを勝手に入ったリビングのテーブルに置いて、キョロキョロと部屋を見回している。 来るのは知っていた。うさちゃんが帰る前に連絡をくれたから。「マルガリータが付いてきた」って。 「おー、ここがふたりの愛の巣な」 「ちょっと。マルガリータ。『愛の巣』ってなんだよ」 うさちゃんが竹内の後から部屋に上がりながら、焦った声を出した。 「だってふたりでやりたい放題だろ? いいなあ! 俺なんか自宅だもん。いいなあ! いいなあ!」 「だから何がいいんだよ」 住人よりも先に、リビングにしている部屋の真ん中にどっかり座って、竹内が嘆いている。 ふたりで暮らしているアパートは、大学から歩いて二十分ほどのところにある。学生が多く住んでいて、俺らみたいに友達同士でシェアしている。八畳のリビングと各の部屋、台所に風呂とトイレ。それが俺たちの持つ空間すべてだ。 「だって、男ふたりで暮らしててさ、やることっていったら、アレしかねんじゃね?」 「アレ?」 「ほら! エロビとか、エロビとか、エロビとか。見放題じゃん。なあ、これからレンタルショップ行ってエロビ借りてこねえ? 三人で大鑑賞会だ!」 「いやだよ。新年からそんな鑑賞会」 「辰郎。観たいよな! お勧め教えて」 「ないよ。観ないし」 「ええー、なんでだよ。君たち観ないの? こんな素敵な環境下にいながら、どうして? あっ! いつも観てるから今更ってか。ずりいよそれは」 大学生になってもなんら変わることのない竹内だった。ある意味癒しだな。この存在は。 リビングで叫んでいる竹内は置いておいて、うさちゃんが実家から持ってきた食料を、ふたりで台所に運んだ。 |
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