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うさちゃんと辰郎くん
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「……ん、んぁ……んっ」
 ゆっくりと回しながら、今度はそこを集中的に刺激するように行き来され、次第にそれを欲しがるように僕の腰が揺れ始めた。
「ぅ……っん、んぁあ、ああ、あぁあっああ……っ、ぁ、ああ……」
「……ここ?」
「あ、んっ、あん、ん、んぅ、……う、ん」
 さっきの怖さなど忘れたように、足を開き大胆に腰を繰り出して快楽を貪る。辰郎君の腰を掴んでいた僕の手は、勝手に自分の身体を撫で始め、そんな姿を辰郎君が揺れながら見ている。
「……気持ちいいの?」
「ぅ……ぅん、う、ん……あぁあん」
「こっち見て」
 目をつぶって浸っている僕に、辰郎君が話しかけてくる。云われるまま目を開けて、上で揺れている辰郎君を見上げる。辰郎君は歯を見せて笑い、僕の足を更に持ち上げ、いやらしく腰を揺らめかせた。
 普段はとても爽やかで、やんちゃな辰郎君が、いつもとはまるで違う顔を見せて、僕の上で揺れている。目を眇め、眉を寄せ、ゆるゆると腰を回し、それを見せつけるように僕を見下ろしている。
 見つめ合ったまま二人して揺れ続ける。
 辰郎君の見ている前で、僕も自分の屹立に手を這わせ、握り込んで上下してみせた。
 初めて見せてくれる辰郎君の姿に、僕も羞恥心を忘れ、すべてをさらけだす。
 全部見て欲しい。僕のすべてを明け渡し、そして辰郎君の全部を受け入れたい。
「気持ち……ぃい……たつろうく……気持……ち、い……い」
 甘い声が漏れ、涙がこぼれ落ちた。
「いい……あ、ぃい……あん、あぁ、また……イキ、そ……辰郎……くん……」
 また限界がやってくる。後ろの快感と、自ら施す刺激に素直に身を委ね、欲望のまま行き着くところまで一気に駆け上がった。
「は……っああ、あぁあっ……んんんぅーーーーーっ」
 握り込んでいた掌から白濁が溢れ出る。濡れた手を更に動かしながら、腰を揺らして放埒の快感に浸った。
 僕に合わせて動いていた辰郎君も、そろそろ限界が近づいてきたらしく、また動きが変わる。一旦奥深くまで突き入れたそれを、根こそぎ引き抜くようにし、また深く入り込み、それが段々と早さを増していった。
「……あ……ぁあ、あ……っ」
 激しくなる動きと一緒に、辰郎君の声が切羽詰まってくる。
「あ、あっ……っ」
 眉を顰め、僅かに開いた口から子犬が鳴くような細く、高い悲鳴が漏れた。
「……く、ぅ、っ……っ、っ……はぁっ、はっ、あ、ああ、ぁああ……っ」
 深く深く突き刺した辰郎君が、天井を仰ぎ、大きな溜息を吐いた。
「ん……っ、は……っぁ……」
 僕の中でイッた辰郎君は、余韻を楽しむように身体を揺らしている。
 上を向いていた顔が僕に向けられ、口元を綻ばせ、尚も揺れ続けている。
「……気持ち……よかった……」
 歯を見せて笑い、辰郎君が言う。
「うん。僕も」
 降りてきた身体を受け止め、キスをした。
「すげえ相性いいよな、俺ら」
「そうなのかな……?」
「いいって! 絶対」
「うん。そうだね」
 終わると同時にさっきまで遠くに置いてきた羞恥が戻ってきて、僕はシーツを引っ張って顔を隠した。
「うーさちゃん」
 後始末をして、もう一度僕に被さってきた辰郎君が僕を呼ぶ。
 ああ。なんかすごく恥ずかしい。
「うさちゃん。どうした?」
 僕ってば、ものすごくいやらしいことしてなかった? 初めてなのに。初々しさのかけらもなかったんじゃないだろうか。
「風呂、も一回入る?」
 クリスマスのときもそうだったけど、僕、ときどき豹変しすぎなんじゃないだろうか。二重人格と思われたりして。
「次は隣のベッドでやろうか。ここ、グシャグシャになったから」
 初めてのエッチなのに大胆過ぎないか? 痛がりもしないで気持ちよくなっちゃって。
「ベッド四つあるし。な、うさちゃん」
 僕が反省をしている横で、辰郎君が四つあるベッド全部を使う計画を立てている。
 そしてそんな無邪気な誘い全部に素直に対応し、反省と悶絶と豹変を繰り返している僕だった。
        
                        (完)

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