INDEX |
うさちゃんと辰郎くん |
80 |
「……ん、んぁ……んっ」 ゆっくりと回しながら、今度はそこを集中的に刺激するように行き来され、次第にそれを欲しがるように僕の腰が揺れ始めた。 「ぅ……っん、んぁあ、ああ、あぁあっああ……っ、ぁ、ああ……」 「……ここ?」 「あ、んっ、あん、ん、んぅ、……う、ん」 さっきの怖さなど忘れたように、足を開き大胆に腰を繰り出して快楽を貪る。辰郎君の腰を掴んでいた僕の手は、勝手に自分の身体を撫で始め、そんな姿を辰郎君が揺れながら見ている。 「……気持ちいいの?」 「ぅ……ぅん、う、ん……あぁあん」 「こっち見て」 目をつぶって浸っている僕に、辰郎君が話しかけてくる。云われるまま目を開けて、上で揺れている辰郎君を見上げる。辰郎君は歯を見せて笑い、僕の足を更に持ち上げ、いやらしく腰を揺らめかせた。 普段はとても爽やかで、やんちゃな辰郎君が、いつもとはまるで違う顔を見せて、僕の上で揺れている。目を眇め、眉を寄せ、ゆるゆると腰を回し、それを見せつけるように僕を見下ろしている。 見つめ合ったまま二人して揺れ続ける。 辰郎君の見ている前で、僕も自分の屹立に手を這わせ、握り込んで上下してみせた。 初めて見せてくれる辰郎君の姿に、僕も羞恥心を忘れ、すべてをさらけだす。 全部見て欲しい。僕のすべてを明け渡し、そして辰郎君の全部を受け入れたい。 「気持ち……ぃい……たつろうく……気持……ち、い……い」 甘い声が漏れ、涙がこぼれ落ちた。 「いい……あ、ぃい……あん、あぁ、また……イキ、そ……辰郎……くん……」 また限界がやってくる。後ろの快感と、自ら施す刺激に素直に身を委ね、欲望のまま行き着くところまで一気に駆け上がった。 「は……っああ、あぁあっ……んんんぅーーーーーっ」 握り込んでいた掌から白濁が溢れ出る。濡れた手を更に動かしながら、腰を揺らして放埒の快感に浸った。 僕に合わせて動いていた辰郎君も、そろそろ限界が近づいてきたらしく、また動きが変わる。一旦奥深くまで突き入れたそれを、根こそぎ引き抜くようにし、また深く入り込み、それが段々と早さを増していった。 「……あ……ぁあ、あ……っ」 激しくなる動きと一緒に、辰郎君の声が切羽詰まってくる。 「あ、あっ……っ」 眉を顰め、僅かに開いた口から子犬が鳴くような細く、高い悲鳴が漏れた。 「……く、ぅ、っ……っ、っ……はぁっ、はっ、あ、ああ、ぁああ……っ」 深く深く突き刺した辰郎君が、天井を仰ぎ、大きな溜息を吐いた。 「ん……っ、は……っぁ……」 僕の中でイッた辰郎君は、余韻を楽しむように身体を揺らしている。 上を向いていた顔が僕に向けられ、口元を綻ばせ、尚も揺れ続けている。 「……気持ち……よかった……」 歯を見せて笑い、辰郎君が言う。 「うん。僕も」 降りてきた身体を受け止め、キスをした。 「すげえ相性いいよな、俺ら」 「そうなのかな……?」 「いいって! 絶対」 「うん。そうだね」 終わると同時にさっきまで遠くに置いてきた羞恥が戻ってきて、僕はシーツを引っ張って顔を隠した。 「うーさちゃん」 後始末をして、もう一度僕に被さってきた辰郎君が僕を呼ぶ。 ああ。なんかすごく恥ずかしい。 「うさちゃん。どうした?」 僕ってば、ものすごくいやらしいことしてなかった? 初めてなのに。初々しさのかけらもなかったんじゃないだろうか。 「風呂、も一回入る?」 クリスマスのときもそうだったけど、僕、ときどき豹変しすぎなんじゃないだろうか。二重人格と思われたりして。 「次は隣のベッドでやろうか。ここ、グシャグシャになったから」 初めてのエッチなのに大胆過ぎないか? 痛がりもしないで気持ちよくなっちゃって。 「ベッド四つあるし。な、うさちゃん」 僕が反省をしている横で、辰郎君が四つあるベッド全部を使う計画を立てている。 そしてそんな無邪気な誘い全部に素直に対応し、反省と悶絶と豹変を繰り返している僕だった。 (完) |
novellist |