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明日晴れたら〜ろくでなしの恋
14


「早く。よこせよ」
「ごめん」
「返せっ」
 寄こさないなら殴ってでも取り戻すつもりだった。克也の怒気に気圧されて、智がポケットから鍵を取り出し、それを奪い取った。
「帰れ。二度と来んな」
「かっちゃん、違うんだよ」
「うるせえ。縁切るっつっただろ。もういい。帰れ」
「かっちゃん」
「それだけはすんなっつっただろうが」
「もうしないよ」
「当たり前だ。もう来るな」
「ごめんって。マジで」
「二度とそのツラ見せんじゃねえ」
 乱暴に腕を掴み、玄関の方へ放り投げる。たたらをふんだ智は、その場からまだ動かない。
「早く行けよ、おら」
 もう一度その体をドアの方へ押しやる。
「かっちゃん、ごめんって」
「しつこいな。殴られてえのか」
「いいよ」
「……てめえ」
 キ、と強い目で克也を見上げ、次にはぎゅっと目を瞑り、克也の鉄拳を待っている。
 本気で殴られると思っているらしい。殴られて、それで済むと思っているらしい。それで全部をチャラにすれば、克也が許すと思っているらしい。
 なんて浅はかで馬鹿なのか。
 振り上げた拳を思いっきり叩きつける。ダンッ、と大きな音が鳴り、壁に穴が空いた。ミシミシと音を立てて、拳が壁にめり込んでいる。
「かっちゃん、手、大丈夫?」
 恐る恐る目を開けた智が、克也の腕の行き先を見て声を上げた。拳を壁にめり込ませたまま、暢気に克也の手の心配をしている智の顔を見つめる。
 脳天気で、考えなしで、人の気持ちも考えられない馬鹿な幼なじみは、どれほど自分が相手を傷つけたのかにも気づかず、お気楽に人の手の傷の心配をしている。
 この馬鹿を……どうしてやろうか。
「来いよ」
 また乱暴に腕を掴み、今度は寝室に連れて行った。さっき智が女と寝ていた自分の布団に放り投げ、その上に被さった。
「かっちゃん」
「女抱いたんだろ? この上で」
 起き上がろうとするのを許さず、片手で智の両腕をまとめ上げ、頭の上に固定した。布団を蹴っている足も自分の体で押さえ込み、身動きができないようにしながら、空いた手で智のシャツを剥いていった。
「いい思いしたんだろ、人んちで。じゃあ、俺にもさせろよ」
 藻掻く体を、体重を掛けて動けなくし、シャツを剥いた後、そのままズボンに手を掛けた。ジッパーを降ろし、手を潜り込ませて乱暴にペニスを取り出し握る。
 ひ、と智の喉が鳴り、体が跳ねた。
「こっちは使ったんだろ? じゃあ今日はもう使わなくてもいいよな」
 下着ごと引きずり降ろしたズボンを足で蹴り抜いた。智の足の間に自分の体を割り入れ大きく開かせる。下半身を固定してから、拘束していた両腕を離す。
 茫然としたままの智は、何が起きているのか理解できていないという顔で、克也を見上げたまま大人しくしていた。
「かっちゃん」
 人の名前を呼んでいる唇に自分の指を突っ込んだ。「濡らせ」と命令し、中をかき回す。
「よっく濡らさねえと、お前が痛い目に遭うぞ」
 笑いながらゆっくりと体を起こし、開かれた足を持ち上げる。智の口から抜いた中指を、いきなり根本まで突き入れた。
「ひっ、いぁああっ」
 ビクン、と仰け反る体を押さえつけながら、中指をぐるりと回転させる。指先で中を探りながら数回抜き差しを繰り返すと、その度に智の体がビクビクと痙攣した。
「力抜いたほうがいいぞ。殴られるよりはましだろ?」
 目を見開いたままの智を眺めながら、く、と指を曲げ、前立腺を擦り上げた。
「あぁっ、あ? あ、かっちゃ、あああっ」
 驚いたような声と共に、智の体が大きく跳ねる。執拗にそこをめがけて刺激を与えると、放ったらかしだった智のペニスがみるみる膨れていった。
「ああ。勃ってきたじゃねえか。まだ足りなかったのか? まったくとんでもねえ淫乱だな。そんなにやりてえのか」
 先端からとろとろと蜜を溢れ出させ、早くも達しそうになっている根本を、輪っかにした指できつく締めた。
「やぁっ、ぁああっ、かっちゃん、や、やぁああっ」
 無理矢理に射精を止められ、のたうちながら、突き刺していた克也の指の動きに合わせて腰を振り出した。
「ああ、ああ、ぁあっ、ああ、ああああぁ」
「凄ぇな。そんなに気持ちいいか? お前いっつもそうだもんな。自分ばっかりいい思いしやがってよ。早いんだよ。こんなじゃ女も喜ばせられねえぞ」
「……ひぃいいん、ひぁ、んんっ、あん、あっ、ああ」
 指がそこを突く度に声を上げる。自ら足を開き、腰を振り立て、目からは涙が零れている。こんな状態でも己の快楽を得ようと貪欲になっている姿が呆れるほど浅ましい。

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