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さよならの前に君に伝えたかったこと |
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圭吾が泣いている。 どれぐらい時間が経ったんだろう。 圭吾が泣いている。 俺、あれからどうしたんだっけ? 学校の帰り道の土手で、圭吾と喧嘩して別れたんだ。それから、圭吾の後を追って、ご機嫌取りに池田屋でパン買おうと思って。 自転車で土手を降りて、それから、 ……それから? どうしたんだっけ? 確か、土手下の公道をトラックが走って来て、俺、それ避けようとして……。 それから あれ? 俺、トラック避けられたんだっけ? 圭吾が泣いている。 何で泣いている? ってか、お前、何に取りすがって泣いているんだ? ここどこ? なあ、圭吾。俺、ここにいるんだけど。なんで何も言わない? ここ……病院? それ、ベッド? その白い布かけてる人、誰? ……って、この状況考えて……多分それ、俺だよなあ。 ああ、 もしかして、俺、死んじゃった? 「祥弘! よしひろぉ……」 圭吾が俺の名前を呼びながら、俺と思われる白い塊に取りすがって泣いている。 「祥弘……俺……俺……ごめんなあ」 身も世もなく泣き伏すって、こういう光景なんだろうか。 見ている俺の胸が痛くなるぐらい、圭吾は泣いて、泣いて、泣きじゃくった。 圭吾。 圭吾! ほら、俺はここにいるから。なんにも痛くないから。だから、泣くな。 一生懸命に語りかけても、聞こえないのか、圭吾は泣き続ける。 そんなに泣いたら目が溶けるって。俺、わかんないまま逝っちゃったらしくて、なんも痛手負ってねえから。だからほら、泣くな、圭吾。 ごめん、許してくれと、繰り返す言葉に、喧嘩別れしたんだっけと思い出す。そうか、それで謝ってるのかと納得する。 怒ってねえし。お前なんも悪くねえし。 圭吾の背中に触れても、何の手応えもない。 これって俺幽霊になっちゃったってこと? どうでもいいけど、圭吾が自分を責めて泣いているのがつらい。 圭吾 圭吾 本当、泣くなって…… ああ、俺こそごめんなぁ。俺、死んじゃうなんて思わなかったからさ。すぐに仲直り出来ると思ってたからさ。 お前を怒らせちまって、俺を置いて行かせちまって。 何を話しかけても、どうにかして分かってもらおうと努力をしてみても、泣いている圭吾は今、俺がここにいることに気がつかない。 どうしたらいいんだろう。それで……俺はこれからどうなるんだろう。消えて無くなるのかな。今ここにいる俺ごと全部、居なくなっちまうのかな。 わからない。なんにも。 誰か教えてくれよ。 |
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