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さよならの前に君に伝えたかったこと |
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もう一度俺の上にやってきた圭吾が、俺のズボンを脱がしにかかる。 「……なあ、おい」と、戸惑った声が出て、それなのに自然に腰を上げて脱ぐのを手伝ってしまった。 全部を脱がされた俺の体を、圭吾がじっと見下ろしている。 本当にするつもりなのか? って聞こうとする前に、片足を持ち上げられた。肩まで上げられた俺の足に、差し出された舌が這っていく。 膝裏から腿へと、圭吾の舌がのぼってくる。 腿の付け根まで辿りつき、唇を押しつけるようにして吸い付いた。 「……ん」 声を殺そうと口を閉じたら、柔らかい皮膚をまた強く噛まれた。 「あぅっ」 どうやら俺が声を抑えるのが気に入らないらしい。 噛みつき、舐め、吸い付き、また甘噛みする。 「……ん、ん」 圭吾の要求は分かっても、素直に声なんか上げられない。やり過ごそうとシーツを握り、自由なもう片方の足でシーツを蹴ると、そっちも持ち上げられてしまった。 「あ、ちょ……けい……っ」 お前なんて格好させるんだよと抗議の声を出す。 俺の声に一旦顔を上げた圭吾は、されている方の俺よりも、切羽詰まった顔をして見つめ返してきた。 「圭吾……あ、ぁ」 その顔を見たら、なんかもう、なんでもいいや、みたいに気分になる。 持ち上げられた足の中心に圭吾の顔が降りていく。 「……あぁあ……はぁ……ぁ……あぁ」 もうすっかり育ってしまった中心を、差し出された舌で舐め上げられ、とうとう声が出た。 茎の部分を柔らかい舌がゆっくりと行き来する。 「ぁぅ……んん、あぁ……」 チロチロと裏筋をくすぐり、吸い付かれ、背中が浮いた。 「はぁ……ぁ」 水面に顔を出した金魚みたいになった俺の口がパクパクと戦慄いた。 先端の部分を咥えられ、そのまま圭吾の口の中に招き入れられたら、ワケが分からなくなって、思わず圭吾の頭を掴んだ。 「あぁ、ぁあ、ああ……」 俺に掴まれたまま、圭吾の頭が上下している。柔らかい粘膜に包まれ、別の柔らかい舌が俺を可愛がる。 気持ちよさに翻弄されていると、奥の窄まりに圭吾の指が当たった。 クチクチと、入り口にクリームを塗りつけ、指のほんの先端が入れられる。 本当に指先だけ、ほんのちょっと入れられて、しばらくそこを解すようにクリクリと広げられ、また少しだけ入ってきた。 右手を侵入させながら、左手は俺の腿を優しく撫で、唇は敏感な中心を愛撫し続ける。 第一関節、第二関節、そして根本まで、ゆっくりと時間を掛けて圭吾は侵入してきた。 「……中指、全部入った」 顔を上げ、俺の表情を覗き、圭吾が報告してくる。 痛くはないかと伺う顔は、やっぱり切羽詰まっていて、俺と同じように荒い息を吐いている。 「……圭吾」 シーツを掴んでいた手を離し、圭吾に向って広げると、差し出すように上がってきて、圭吾が俺に抱き締められた。 引き寄せてキスをねだり、太い首に腕を絡める。 俺に抱き締められながら、奥の指がゆっくりと動いている。 「ん、ん」 俺の声と一緒に圭吾も息を吐いている。 ふっ、ふっ、と熱い息が頬にかかり、なんだかとても、とても……こいつのことが愛しいと思った。 |
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