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| エイジ My Love |
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| 「あのさ、エイジくん」 「んー?」 ぼんやりとドリンクバーの前に立っている二人の後ろ姿を眺めていた俺に、二宮が話し掛けてきた。 「試験が終わったら、どっか遊びに行かない?」 「あー」 これは、デートの誘いなんだなと理解した。四人、もしくは六人でっていう話なら、光一たちが席にいるときに言えばいいわけで、わざわざ二人で座っているときにそんなことを提案してきたのは、二人で何処かへ遊びに行きたいということなのだ。 「んー、そうだなあ」 視線を移し、目の前に座っている二宮を見る。 可愛くないということもない、普通の女の子だ。髪も染めていないし化粧も濃くない。眉は弄っているらしく、だけど睫毛は自前のようだ。素顔に近い化粧で普通に見えるんだから、可愛い部類に入るんじゃないかなと考えた。 好みかどうかと聞かれたら、分からない。だいたい自分がどんな子が好みなのかもよく分かっていなかった。 ほんの少し。 これが本当にほんのちょっと前に起こった出来事だったら、俺のテンションはもっとずっと高かったんだろうと思う。たぶん、声を掛けられた時点で舞い上がり、大騒ぎをしたことだろう。そして今日の佐藤の取った行動を、俺がしていたかもしれない。 だけど、どうすっかなあ……。 もう一度視線を移す。光一と鈴木が俺らの飲み物を持ってこっちにやってくるところだった。 今ここで、二人で会う約束をして、それからなんとなくそういう付き合いが続いていくとする。お互いにもっと気の合うことが分かって、案外上手くいくかもしれないし、そうならないかもしれない。 別れたら別れたで、クラスも違うし接点もそうないから、それ以降もあまり生活は変わらないだろう。 光一だって俺に彼女ができたらそうそうベッタリしてくることもなくなるだろうし、かといって学校で一緒にいるのも変わらない。こいつはずっと変わらないような気がする。 ここ最近は、光一との友情がちょっと過剰な方向に流れているわけだけど、それ以上の進展はないことは分かっている。 いうなれば、俺と光一がやっていることっていうのは、自慰の延長というか、気持ちのいいことに流されてしまったサル的欲求というか、そんなものに過ぎない。 俺に彼女ができようが、光一は光一で、何も変わらない。 「お待たせ。ほい、エイジの」 俺の頼んだジュースがテーブルに置かれた。 「じゃあ、いこっか。何処行きたい? 二宮さんは」 なにしろこいつは、俺とのセックスは勘弁だと言ったのだから。 |
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