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うさちゃんと辰郎くん |
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辰郎君の大きな手が、僕を包んでいる。 「……ふ……ぅ」 鼻から抜ける僕の声を聞き、辰郎君が笑う。 規則的に動いてた掌が、時々弛み、親指で先端を撫でてくる。 「……ん」 それが気持ちよくて、また声が出て、辰郎君がまた口元を弛めた。 僕の手は添えるだけになっていて、動かしたいのに上手くできない。身体が勝手に揺れて、恥ずかしいのに止められない。 「ぁ……ぁ……」 辰郎君はそんな僕の姿を楽しむように、口元に笑みを浮かばせて、喘いでいる僕を見つめていた。 水音が止み、ドアが開いて、閉まる。 姉ちゃんが風呂から上がった。 台所に行き、冷蔵庫から何かを取り出して飲んでいる。 「……姉ちゃん。これからドライヤー使うよ」 「そうなの?」 「うん」 姉ちゃんが風呂から上がったことにより、また中断しそうな気配の辰郎君にそう言って、辰郎君の首を強く抱いた。 自分から口を開き、辰郎君を招き入れる。 絡まった舌を引き寄せ、舐り、僕からも辰郎君の中に押し入った。 僕が言ったとおり、姉ちゃんが再び洗面所に入り、ドライヤーのスイッチを押した。 ブオォオ、と風がなる音が聞え、僕たちの立てる音がかき消されていく。 「……ぁ……ぁ、ん、……っん」 いつにない僕からの積極的な口づけに、辰郎君の動きが再開され、それが激しくなっていく。 上下される動きも早くなり、それに合わせて僕の腰も揺れていた。 「ぁ……あ、ぁ……ぁっ、ん、あぁん……はぁ、ぁああん」 括れの部分をなぞられ、包み込みながら動かされ、夢中になって腰を揺らす。 「んん、んんっ、んっ、ぁ……っ、あ、ああ、あ」 辰郎君の手の中がどんどん濡れてきて、滑りがよくなっていく。自分から腰を揺すり行き来させながら、頭の中が白くなってきた。 「ああ、ん、あ……イ、もぅ……あ、あ」 気持ちが良すぎて、もう何も考えられない。 「イキ、そぅ……たつろ……く、ん、ああ、あ、んっ……あーーーー」 「うさちゃん」 辰郎君が僕を呼んでいる。 「あ、あ」 返事をしようと思ったら、突然手で口を覆われた。 「っ、や、やだ、んん、んーーー」 なんで口を塞ぐの? 苦しくて、首を振って辰郎君の手から逃れようとしたら、今度は何か布のようなものが顔に掛けられる。 「うさちゃん、うさちゃん」 辰郎君が焦ったような声を出している。 「声、声、でかい」 顔に掛けられたのは、辰郎君が脱ぎ捨てたトレーナーだったみたいだ。 口をトレーナーで押さえられ、「しー、しー」っと、尚も焦った声を出している辰郎君だった。 「やだ……」 また中断されてしまった行為に涙目で訴える。あと少しでイキそうだったのに。 「たつろう……くん」 身体を揺らして辰郎君にねだる。 辰郎君は僕の必死のお願いに、押し付けていたトレーナーを更に押し付けて「これで押さえてて」と言ってきた。 言うとおりにしたら、やめないでくれる? 「……ん、……ん」 コクコクと返事をして、トレーナーで口を覆う。 僕が静かになったのを見届けた辰郎君は身体を起こし、僕の上に跨るようにして乗ってきた。 |
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