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うさちゃんと辰郎くん
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 お湯から出て、二人で拭き合いっこして、手を繋いだまま寝室に入る。
 糊のきいたサラサラのシーツに横たわった僕の上に、辰郎君が被さってきた。
 髪をかき上げるようにおでこを撫で、近づいてくる唇を、自分から口を開けて迎え入れた。
「……ん」
 顔の位置をずらしながら、何度も合わさる。頬に触れていた掌が降りてきて、僕の肌を撫で始めた。
「ぁ……あ」
 誰もいないという開放感からなのか、声が勝手に迸る。僕が声を上げると、辰郎君はその場所に唇を当て、チロチロと舐め、そして軽く歯を立ててきた。
「あっ、ん」
 乳首を噛まれて、身体がピクン、と跳ね上がる。辰郎君は舌先で僕のそこを育てながら、掌を滑らせて、もっと下にある、その場所に触れてきた。
「あっ……」
 誰にも見せたことも、触らせたこともないそこに指を当て、辰郎君が僕の顔を覗いてくる。
「ほんとに、いいの?」 
 確かめるように聞かれ、僕が頷くと、辰郎君は用意してきた容器を取り出した。
 チューブから出した液体を掌で捏ね、濡らした指をまたあの場所に当ててくる。
 ゆっくりと入ってくる指先を感じながら、僕は息を吐いて力を抜いた。
「痛かったら、言ってな」
「う……ん」
 つぷ、と第一関節ぐらいを埋め込んで、辰郎君が僕の顔を眺めている。
「ゆっくりするから」
 こくこくと頷いて、息を詰めないように深呼吸をした。
 宣言通りに辰郎君の指がゆっくりと中を探っていく。痛いというよりも、異物が挿入される違和感で眉が寄る僕に、辰郎君は宥めるようなキスをくれた。
「……入った。一本。痛い?」
「い……たく、ない」
「本当?」
「ほんと」
 何度も確認し、根本まで入り込んだ指をやはりゆっくりと動かされ、力を抜いたままその感触に慣れようと努力した。
「……うさちゃん」
「……ぅ、ん?」
「舐めていい?」
「あ……」
 空いた方の手で、僕の屹立をそっと撫でた辰郎君が聞いてきた。
「い……ぃ……よ……」
 大きな身体が降りていき、開かれた足の間に顔を埋める。
「はっ……ぁ、あ」
 ペロ、と舐められて、顔を倒した辰郎君が、茎のところに吸い付いた。
「やぁ……ん、ん、あぅっ、あ、ああ」
 チュプ、チュプ、と音を立てて、吸い付きながら行き来され、僕の中心が芯を持ち始める。立ち上がったそれを今度は舌を出して舐め上げて、先端を咥え、舌先で擽られた。
「んんんぅーーあっ、んぅっ、んっ」
 辰郎君の顔の動きに合わせて、腰が揺らめく。吸い付かれたまま引かれると、それを追いかけるように腰が浮き、大きな声が上がった。


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