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うさちゃんと辰郎くん
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「はぁっ、ん、ぁん、あっんっ」
 快感に翻弄されている隙に、二本目の指が潜り込んでくる。
「はっぁ……」
 質量の増した後ろの感覚に、思わず息を止めると、辰郎君はそれをはぐらかすように大きく深く、飲み込んできた。
「やあぁ、やあっ、……んんっ、たつろ……く、やっ」
 グジュ、グジュと音を立てて、激しく顔を上下され、その頭を掴んで引き剥がそうとした。
「やっ、めぅっ、やあああ!」
 僕の叫び声を聞き、辰郎君がやっと離れてくれた。
「痛い?」
 目からは涙がこぼれ出て、シーツを濡らしている。心配そうに顔を覗かれ、僕は首を振った。
「……ぎゃ、く」
「逆?」
「気持、ち……ぃ。良すぎて……」
 なんにもしないうちに終わっちゃう。
 狼狽えながらそう訴えると、辰郎君がふわっと笑った。
「気持ちいい?」
「……うん」
「じゃあ、やめない」
 笑ったままの顔がまた下りていく。
「駄目っ、だ、めぇっ……あああぁ」
 もう一度咥え込まれ、飲み込まれて動かされて、僕は首を振って抵抗したけど、辰郎君が止めてくれない。
「出ちゃうっ、で、ちゃうっ、ぅう、あっ、だめ、だめぇ、やああ」
 入れられた二本の指で掻き回すように中を探られ、深く飲み込んでいる辰郎君の舌が蠢く。
 本気で嫌だと思っているのに身体が言うことを聞かない。あられもないくらいに自分から足を開き、辰郎君の動きに合わせて腰が揺れる。
「ふっ……んんぁああ、ああ、ああ、やあぁ、はぁあああんっ……」
 引き剥がそうと辰郎君の頭を掴んでいる手は、いつの間にか促すように動いている。
 チュポ、と音を立てて一瞬唇が離れ、次には先端を軽く噛みながら舌先で出口を撫でてくる。
「やっ、それっ、だめ、だめ……ぇっ」
 駄目っていったらますます同じところを責められた。
「ひ、ぁ……」
 もうわけが分からない。一人でしているときなんかよりずっと強い快感に、理性も羞恥もはじけ飛んだ。
「あん、あっ、んっ、んん、ん、あっ、ぁっ、」
 夢中になって身体を揺らし、弾けたい欲求に抗えなくなった。
 首を起こし、僕の足の間にいる辰郎君を揺れながら見つめた。僕を可愛がっている辰郎君の表情は、真剣で、それにとても嬉しそうだ。
「……イ、ク……たつろ、う、くん……っ、ぁ」
 僕の声を聞いた辰郎君はもう一度深く飲み込んで、大きく顔を上下し始めた。
「あぁっ……んっ……っ、っ……っ!」
 身体が硬直し、腰が震える。舌で撫でられながら吸い付いている中に、我慢できない熱が弾けた。
「っ……あぁっ……ふぅ……っ、ん、んぁ、は、ぁ……ぁ、……」
 放出させながら動きに合わせて腰が浮く。僕を受け止めながら、辰郎君が尚もゆっくりと動いていた。
 頭にモヤが掛かったまま、一緒に揺れる。質量の減った僕の中心を、しゃぶるようにして可愛がり続けている。
 指はまだ後ろに入ったままで、そこを動かしながら、舐め尽くすように舌が蠢いている。
「あ……辰郎君……もぅ、やめ……て……」
 掴んでいた髪を引っ張ると、ようやく唇が離れ、それでも僕の太腿や足の付け根に唇を這わせ、吸い付いてくる。
「辰郎君」
 名前を呼びながら頭を持ち上げるように引くと、辰郎君が這うようにして上ってきた。


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