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続・月を見上げている |
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剥ぎ取るようにして服を脱ぎあって、連れていかれたのは、露天風呂だった。散々樹に煽られた大輔の仕返しは、樹の体を弄びながら、声を出すなという命令だった。 「……んっ、んぅ……」 「ほら、外に聞こえるから……我慢しろ……」 岩に囲まれた湯に身を沈めて、膝の上に樹を座らせ、向かい合わさった格好で甘い責め苦を続ける。樹にとっては拷問に近い攻めだった。大輔の首にしがみついて耐える。 胸の突起を摘まれ、左右に軽く揺さぶられれば、簡単に声が溢れ出てしまう。声を出すなと言ったくせに、唇を結ぶと舌をこじ入れてきて、閉じることを許さない。 「あっ……ぅん、んん……」 パシャパシャと跳ねる水音は、湯の中で上下する大輔の手の動きに反応して跳ねる樹の体と共に生まれていた。 「も、もう……嫌だ……ぁあ、んっあっ」 どんなに煽っても、結局はこうして自分だけが乱されてしまう。 初めは仕返しだと言っていたが、違う。 樹が大輔によって変わっていったのと同じように、大輔もまた、自分の嗜虐性を自覚したようだった。樹が乱れるのを、それを恥じて隠そうとするのを暴き、最後には羞恥心を忘れるほどになる様を見るのが好きなのだ。 胸を弄っていた手を背中に廻されて、背筋をつっとなぞられると、弓なりに反り上がる。それにつられて大輔の膝に置かれていた腰が浮き上がって、あられもない姿が晒される。足を閉じたくても間に入った大輔の体に阻まれてそれも叶わない。張り詰めた屹立の幹を扱いたまま、親指で先端を抉られて、悲鳴にも近い声を、大輔の口に貪りつくことでようやく堪える。 「んん〜っ、んっ、んっ、んっ」 イキたいのにイカせてもらえない官能を促しておいて、極まりそうになるとはぐらかされる。湯の熱さと快感の波に翻弄されて、白い肌が、紅く紅く染まる。 性急な攻めから緩やかなものになった手の動きに合わせて、自然と腰が揺れる。首に廻した手を緩めて体を起こすと、愛しげに見つめる大輔と目があった。ゆっくりと揺れながら、口づけをせがむ。 「ん……」 角度を変えながら深く合わさって、舌を絡めあった。廻した腕は愛しい恋人の髪を弄ってかき回す。 はぁ……と、息継ぎの為に離れると、両の唇から銀の糸が引かれて、湯気の中光った。 「折田さ……」 「大輔だ」 名前を呼んでみろと、また唇が近づく。 「ん……だいす……け」 口づけの合間に恋人の名前を呼ぶ。 「だ……いす……け……ぇ……」 自分でも信じられないくらいに甘い声が出る。 「……すげえ」 ギュッと抱きしめられて嬉しくなった。名前を呼んでこんなに喜ぶのなら、いくらでも呼んであげたい。 「……だいすけ」 「樹……」 「だいすけ……あのな……」 「なんだ?……ん?」 「……部屋、行きたい」 もっと愛し合いたい。 「……もう、我慢……いやだ……もっと……したい……」 優しく見つめられる瞳に、もう一つ、獰猛な火が灯った。 腕を引かれて湯から上がると、大きなタオルに包まれて、丁寧に体を拭かれた。綺麗に水分を吸いとったタオルを受け取って、今度は相手の体を拭く。じゃれあうように頭をがしがしと拭いて、だんだんと下へ降りていく。中腰になって上半身を拭き清め、跪いて足を拭く頃には、もう、我慢が出来なくなって、その腰に縋りついていた。 |
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